【はじめに。】 ガトーショコラの進化 〜追い続けた味〜

2021.07.20

皆様はじめまして。
宮城県仙台市にあります
チョコレートな関係のガトーショコラを焼いてます製造責任者の宍戸と申します。



かれこれ焼き始めてから今年で13年経ちました。

元々は調理を専門にしてお菓子の世界は全く未知でした。
世にも稀な熟成ガトーショコラの世界観を誕生から今に至って物語形式で文章に起こして伝えていければと思います。

きっかけは当時勤務してた札幌のお店
女性パテシィエが退職され、調理の自分がメニューにあるガトーショコラを作らなければいけない環境でした。
 
しかし全く作った事がない。作り方もわからない。
どうしようと焦りながら恐る恐るレシピを聞こうとしたら
『わたし、宍戸さんの前で何100回も作ってましたよね?』とバッサリ切られまして・・・
 
職人の世界では目で盗めという言葉がありますね。
 
当時の自分はお菓子作りに全く興味が無かったのではっきり言えば全く見てませんでした。
 
また女性パテシィエが最後の勤務日にワンホールだけガトーショコラを焼いてくれ、
『これを食べて勉強してください』と言い去っていきました。
 
たかがガトーショコラ
されどガトーショコラ
崖っぷちに追い込まれた心境ながらやるしか無いと言う気持ちに。
 
ただそのワンホールを食べても美味しいという判断しか当時は出来なかった為、あえて食べずにお客様用にしました。
 
『このガトーショコラが売り切れるまでに完成させる!』と意気込みながら開発がスタート。
 
勤務終了した深夜にネットのレシピを見ながら美味しそうなのを選んでという形で。
 
5日間連続で無我夢中で焼き続けたガトーショコラ
 
結果は、まぁ全く形にならない、自分が納得出来ないと散々でした。
 
というのも最初から小麦粉入りではなく、
小麦粉無しでトライしましたので菓子経験のある他店の先輩からは『小麦粉無しは難しいから小麦粉入りで練習しろ』と言われましたが、それでも頑なに拒否して小麦粉無しを通しました。
 
5日目を終わり、自分の中でネットには作り方は載ってないという認識に変わり、
調理の感覚でやるようになったのが6日目
 
7日目のガトーショコラの出来をみて、
自分的には『いいんじゃないか⁈』というところまでいきました。
 
これはわかる人に判断してもらいたいと感じ、当時札幌で有名なフレンチシェフの元に持っていきました。
 
シェフはガトーショコラを手に取るなり、香りを嗅いで手でちぎっただけで、
『〇〇が多くて、✖✖が足りない、こうゆう作り方だろ?こうゆう感じでやらなきゃダメだ。』と全く食べてないのに材料から製法まで当てられました。
 
その瞬間、驚愕と共に全身鳥肌と武者震いに。

もちろんそのシェフもレシピは教えてくれませんでしたが、その発した感想が実はレシピなんですよね。
 
その後はというと、御礼だけ伝えてシェフの言葉を脳裏に焼き付けて厨房へダッシュでした。
 
新しい宝物を発見したかの様な勢いで取り組んだ数日は、無性に楽しかった当時を今でも記憶しています。
 
完成に辿り着いたのが開始から10日目の事。
 
これまで全く出来なかったジャンルがたった10日で出来たのかということ。
 
その時は出来ないという悔しさで自分を鬼にしてたんでしょうね。
 
早く食べてもらいたくて、シェフのスケジュールを聞きながら直ぐ持っていきました。
 
香りを嗅いで、手でちぎってと前回と同じ動作でしたが今度は食べて頂けました。
そして『合格』の一言。
 
『自分で素材の扱い方を理解してなければレシピを聞いても身につかないから教えない、世界中にレシピが沢山あるのはそれぞれに追求して正解を発見したからだよ』とシェフが放った言葉に当時はひたすら感動してました。
 
この時の光景と交わした会話は今でも忘れられませんね。
 
調理ではここまで追及した事がなかったせいか、この日を境に小麦粉未使用のガトーショコラ作りに少しずつハマっていく様に。
 
 
これが最初のきっかけでして、熟成ガトーショコラに進化を遂げたのはこの時から5年後。


何年経験しても奥深い世界ですが、まだまだ追及していけたらと思います。